「子どもはいろいろな刺激を求めているので、何でもいくらでも吸収する。だから、早い時期にたくさん習い事をするのが有益」などと言われることがあります。
しかし、これは「神話」にすぎません。
まず、乳児ですが、確かに生後すぐから周りの物や人に刺激を求めます。しかし、乳児自身から能動的に(積極的に)働きかけるものしか、乳児にとって意味のある刺激にはなりません(※1)。
したがって、乳児が「何でもいくらでも吸収する」わけではないのです。
また、乳児も幼児も(というより、人間は)個人の特性によって興味をもつ刺激は異なります(※2)。だから、幼児であっても、やはり何でもいくらでも吸収するわけではないのです。
さらに、人間は(もちろん乳児も幼児も)、難易度がちょうど適度な課題にしか挑戦意欲をもって取り組むことができません(※3)
藤井聡太さんは、将棋を始めたとき、おばあちゃんに勝てるのが楽しくて夢中になったといいます。おばあちゃんはルールを知っている程度だったそうです。つまり、「難易度がちょうど適度な課題」だったわけです。
冒頭のような宣伝文句には気をつけましょう。
もちろん適切な早期教育もあり得ます。これについては次回以降で触れたいと思います。
※1,※2,※3・・・ 松村,2008;坂井,2009