しが国語教室

科学に裏打ちされた、国語の勉強法

色々やってみるのが脳の発達によいって本当?

知能には多数の要素があるので、まんべんなく刺激する(色々やってみる)ことによって開発できる」と言われると、つい納得してしまいがちですが、これは「神話」にすぎません。

知能を扱う精神測定学では、知能の構造(しくみ・成り立ち)について、まだ多数の理論が乱立している段階で、それぞれの理論によって知能の要素(記憶力・言語能力・数の能力・推理能力・知覚する速さ、などなど)は異なっています。

従って、刺激するべき個別の要素を明確に判定できないし、それぞれの要素の発達に必要な経験・学習の違いもわかっていません(※1)。

何をやっていいかはっきりしていない段階で、とにかく全部やってみて様子をみようというのは、一つの考え方ではありますが、行き当たりばったりの観もありますね。

「色々な栄養素があるので、好き嫌い無く食べるのが体に良い」というのは納得できますが、これは医学・栄養学が多数の実験・観察に基づいたエビデンスの上に成り立っているからです。管理栄養士という、社会に認められた職業もあります。

しかし知能に関しては、まだ理論段階です。「管理知能士」とか「知能鑑定士」などという職業がないことからもわかります。

※1 松村,2008;坂井,2009

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