孟母三遷という言葉を学校で聞かされた覚えがあります。
孟子が子どものころ、家が墓場のそばにあったので、孟子は葬式のまねばかりしていた。商店のそばに引っ越すと今度は商売のまねばかりして遊ぶ。そこで母親は、学校のそばに引っ越した。すると、孟子は勉強するようになったという話でした。
これを「目標に関連した対象への近接性を確保する方略(※1)」と言います。
孟子に勉強してもらうという目標に関連した対象(学校)への近接性を確保した(引っ越した)わけですね。
受験で言えば、あらかじめ志望校を見に行ったり、受験学年になる前に受験当日に会場に行って雰囲気を知ったりしておくと、やる気が出ると言われることがあります。
合格という「目標」に関連した「対象(学校)」への近接性を確保する(この場合は、志望校や受験の雰囲気を知っておく)ということですね。
同じような志望校や学力を持つ塾に入るというのもこの方略に含まれます。この場合は合格という目標に関連した対象(塾・生徒)への近接性を確保したわけです。
「近接性」は、距離的なものだけでなく、精神的なものもあり得ます。親が自分の出身校のイベントの話を子どもにすると、子どもが同じ学校に入りたくなったという話もよく聞きます。
日常生活の中でも色々と応用する余地がありそうな方略です。
※1 Fujita, Trope, Liberman, & Levin-Sagi, 2006; Thaler & Shefrin, 1981